Tales of

夜半の導標

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夜半になると港の灯台は一度だけ光を止める。故障でも合図でもなく、そういう習わしなのだと古い航海日誌には書かれていた。そのわずかな暗がりの間にだけ見える標が、海のどこかにあるらしい。

若い航海士は半信半疑のまま、小舟を出して沖へ向かう。光のない海は不安より静けさの方が大きく、潮の音だけが方角の代わりを務めていた。やがて遠くに、灯台より低い位置で明滅する小さな光が現れる。

彼は舵を切る直前、あれが目的地ではなく、戻るべき場所を示す印かもしれないと考える。それでも小舟は、その迷いごと暗がりの中へ進んでいく。

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