高速へ上がる前の合流帯には、誰のものでもない迷いが白線になって残っている。青年は料金所の手前で減速し、前方の空いた車線ではなく、まだ暗い左側の路肩を見ていた。進むことより、入る直前のためらいの方が長い夜がある。
助手席の地図は開かれていない。目的地は決まっているのに、向かう理由だけが曖昧だった。白線の途切れる位置をなぞるように視線を流しながら、彼は今夜だけ別の道へ乗ってしまう想像をする。
けれどハンドルは、迷いを許さない角度で静かに切られる。白線をまたぐその瞬間だけ、決断はいつも人の手より先に車のほうで済んでしまう。