きついカーブの先は、曲がり切るまで見えない。だから人は、その先に都合のいい景色を置いてしまう。峠道を走る少女も、ヘアピンのたびに、次の直線には少しだけ楽な夜が待っていると思い込んでいた。
実際に見えるのは、似たようなガードレールと、何度も繰り返す暗い樹影だけだ。それでも彼女は毎回同じように期待し、同じように肩の力を抜き損ねる。期待が外れることより、期待しなくなってしまうことの方が怖かった。
向こう側にあるのは特別な何かではなく、また次のカーブだと分かっていても、彼女は今日もステアリングを切る。
頭文字D
きついカーブの先は、曲がり切るまで見えない。だから人は、その先に都合のいい景色を置いてしまう。峠道を走る少女も、ヘアピンのたびに、次の直線には少しだけ楽な夜が待っていると思い込んでいた。
実際に見えるのは、似たようなガードレールと、何度も繰り返す暗い樹影だけだ。それでも彼女は毎回同じように期待し、同じように肩の力を抜き損ねる。期待が外れることより、期待しなくなってしまうことの方が怖かった。
向こう側にあるのは特別な何かではなく、また次のカーブだと分かっていても、彼女は今日もステアリングを切る。