Arknights:Endfield / The Last Memory

#04 雨の帰り道

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雨足は強くないが、やはり傘は必要だったようだ。管理人は駅の出口で足を止めると、空を見上げた。まだ雨は止みそうになくて、職場に傘を忘れてきてしまったことを後悔した。小さくため息をついた矢先、見上げていた暗い空が、ビニール越しの視界に変わった。隣を見れば、そこには傘を差したウルフガードが立っていた。

「キャトロっ」
「そろそろ管理人が駅に着く頃かと思って、打ち合わせ先から急いで来たんだ。いいタイミングだった」

ウルフガードの視線が管理人の手元に移る。傘を持っていないことがバレて、思わず困ったような笑みを向けた。

「ありがとう、職場に傘を忘れてきちゃったから…助かったよ」

傘を持つ恋人にそう伝えれば、どこか柔らかい雰囲気に変わったのをきっかけに、一緒に歩き出した。歩くうちに、景色は賑やかな駅前から住宅街へと変わっていく。雨のせいか、人通りは少ない。一緒に帰り道を歩くのは久々だった。仕事も違い、活動する時間帯も違う。同じ家にいても、すれ違いになることはよくある。この何日かの出来事を話しながら、管理人はビニール傘を打つ雨の音が強くなるのを感じて、傘越しに空を見上げた。

「強くなってきちゃったね」
「そうだな。予報通りだ」

ウルフガードも同じように空を見上げる。管理人は空を見上げるその姿に既視感を感じたが、それよりも恋人の肩が濡れていることが気になり、思わず相手のTシャツを引っ張った。

「キャトロ、もっとこっちきて。濡れちゃう」
「帰ったらすぐにシャワーを浴びるから、問題ない」

白いTシャツの肩あたりの布全体に雨が染みて、少し透けてしまっている。反対に、こちらが着ているワイシャツは全く濡れていない。だいぶこちら側に傘を傾けてくれていたようだ。管理人は少しだけ眉を寄せると、わざと距離を取って傘から出た。

「管理人っ」

ウルフガードが少し慌てたように傘を差し出しながら追う。それでも管理人は傘から出るのをやめない。

「キャトロが濡れるなら、僕も濡れる」
「風邪を引くぞ」

これ以上傘から出さないとばかりに、ウルフガードがしっかりと肩を抱き寄せてきた。身動きができなくなった管理人は、距離が近くなった恋人を満足そうに見上げた。

「こうやってくっついたら、君もちゃんと傘に入れるね」

やっと傘に収まってくれた恋人の姿に満足そうに言うと、ウルフガードは小さく息を吐いた。

「まったく……お前には本当に振り回される」
「嫌?」
「そんなわけないだろ」

少しだけ呆れたように言う恋人の獣耳が小さく動く。特に左耳がよく動く時は、機嫌が良い時の合図だ。よく動く獣耳に、管理人は目を細めた。

「ついでに、シャワーも一緒に浴びる?」

管理人からの問いに、背後にある相手の尻尾が、雨粒も気にせず大きく動くのがわかった。

「浴びるだけで済むか?」
「それは…君次第、かな」

重なる影は、強くなる雨のせいで見えなくなった。

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