Arknights:Endfield

When You Say ”Wait”

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side Wulfgard

管理人の言う”待て”という言葉にはいくつか意味がある。

一つは戦場での”待て”だ。

「今回はクランの数が多い。各地の暴動を鎮めるには、一気に各クランを叩くしかない。一つずつ集中的に殲滅するより、クランの頭だけを短時間で叩いていこう」

新たにクランを形成し始めたランドブレーカーたちの掃討作戦。

各地では連日、暴動や破壊行為が行われていた。

特に谷地通路での破壊行動は目に余るものがあり、近くに避難所がある以上優先的に対応しなければならない。

「みんな、準備はいいね?」

谷地通路へ入る前から感じていた殺気。気配を消そうとしているのだろう、息を潜めている敵の数はざっと20人ほど。狼群にかかれば、森深くに隠れた小鳥の動く音さえも聞こえるのだから、いくら隠れようとしてもそれは無駄な努力だ。

「かかれぇ!!!!」

奇声にも似た声が狭い通路に響き渡る。予想通りの場所に現れた伏兵に合わせて、タイミングよく管理人が走り出した。他のオペレーターとともに管理人の後を追う。

その間にホルダーに入れていた二丁の愛銃を持つと、腕に刻み込まれたアーツが脈打ちながら湧きあがる。

狭い通路を抜け、開けた荒地に出れば似つかわしくない太陽光に迎えられた。そこに新たに現れたボーンクラッシャーたちが追手と合流し、その数は倍になった。

「迎撃するよ!」

管理人の言葉と共に、いくつもの銃弾と狼の姿を成したアーツがボーンクラッシャーたちへと襲い掛かる。

確実に急所を撃っていくが、敵の数は一向に減らない。

二丁拳銃を操りながら片方の拳銃をホルダーへ戻すと、その隙に先日改造したばかりのフラググレネードを投げた。

調整は完璧で、轟音と共に吹き飛ぶ略奪者たち。その中央には、咆哮をあげながら斧を振り回す処刑人の姿があった。

「管理人、やつが親玉だ!」

「あぁ、任せて…!」

管理人の動きを援護するように再度二丁の拳銃を構えれば、周囲の狙撃手や潜入者たちを足止めする。

サポート体制に入ったこちらの動きに気づいたのか、管理人は一直線に中央にいる処刑人に切りかかっていった。

「君はここで、終わり…!」

管理人の周囲の空気が張りつめ、処刑人の周囲で形成された源石が金色に光る。

矢のように尖った何本もの鉱石が、処刑人を串刺しにすると同時にその動きを封じた。

質量をあげるように赤く熱を帯び始めた源石は爆発と共に砕け散り、破片が他のボーンクラッシャーたちをも突き刺し、その威力を周囲に見せつけた。

重力に負け地面に叩きつけられる鈍い音の出所は、親玉の処刑人だった。すっかり動かなくなったその姿に、手負いの略奪者たちが怯えたように悲鳴を上げ、散り散りに逃げ始めた。

「逃がすか…!」

残党たちを追おうと駆けだした矢先。

「待て、ウルフガード」

管理人が静止する声が聞こえ、踏み出した足をその場で止めた。

「深追いはしなくていい。今回は殲滅することが目的じゃない」

本当はすべての敵を殲滅したかったが、今回の任務はあくまでクランのボスだけを狙う作戦だ。

普段よりも少し強めな声音に従うように、手に構えたままだった銃をホルダーにしまう。

「了解だ、管理人」

素直に応じたこちらの様子に、管理人は満足そうに小さく頷くと、端末で次の殲滅場所を確認してから歩き出した。

「よし、次の場所に行こう」

二つ目の”待て”は、逢瀬の時だ。

「んっ…キャトロっ、ぁっ…」

「っ…管理人」

昼間の鋭く通る声で指揮を取る様子とは裏腹に、今は腕の中で甘い嬌声を響かせている。

管理人とは所謂”そういう”間柄だ。

二人きりになれば、お互いを求めるように肌を重ねてしまう。

どちらからともなく唇を重ね、邪魔な衣類を脱ぎ去れば、あとは欲のままに熱を共有し合うだけだ。

「ぁっ…待てってば、はげしっ…」

狭い胎内を何度も擦り続けると、決まって管理人は「待て」の指示を出してくる。

言葉通りに打ち付けていた腰の動きを止めると、不満そうな動揺したような、複雑な表情で見上げてきた。

「っ…なん、で…」

「”待て”と言ったのは、管理人だろう?」

こちらからの言葉に、垂れ下がっていた眉の間に不満そうに皺が寄る。

「っ…こういうとき、は…待たなくて、いい…」

こういう時の”待て”という言葉に従わなくていいことはわかっている。

わかっていてわざと従ってやれば、先を促すように管理人が胎内にある熱をきつく締め付けてくる。

「、…キャトロ、はやくっ…」

こうやって照れ隠しの皮が剥がれて、自分から涙目で懇願してくるからだ。

その表情を見たくて求められたくて、”待て”の本当の意味を理解しているが、わからないふりをして従っている。

当の本人は気づいていないみたいだが。

「了解だ、管理人…っ」

「ぁっあ…っ!」

管理人の言う”待て”にはいくつか意味がある。

戦場では明確な命令だが、二人きりの時に零れるそれは、わがままでひどく愛しい命令だ。

だから俺は、管理人の”待て”には従うことにしている。

戦場では正しく。ただし、二人きりの時は少しだけ間違えたふりをして。

side Endministrator

僕が言ってしまう”待て”には種類があるらしい。

一つ目は戦場での”待て”。

「今回はクランの数が多い。各地の暴動を鎮めるには、一気に各クランを叩くしかない。一つずつ集中的に殲滅するより、クランの頭だけを短時間で叩いていこう」

相変わらずクランを形成しているランドブレーカーたち。その中でもボーンクラッシャーたちによる暴動や破壊行為の報告が増えている。

特に報告が増えているのは谷地通路。

あそこには避難所もあり、今回は優先して谷地通路からクランを潰すことにした。

「みんな、準備はいいね?」

ウルフガードをはじめ、他のオペレーターと共に谷地通路へと向かう。

中枢エリアから通路へと入るまでに感じていた殺気は気のせいではないようだ。

谷地通路の構造からして、伏兵が潜伏できる場所は限られている。

周囲の様子を伺いながら、ひび割れたアスファルトの通路をゆっくりと進んでいく。

「かかれぇ!!!!」

予想通りの場所で現れた伏兵。トンネルになっているここで戦闘をするには狭くて分が悪い。

伏兵を誘導するように走り出せば、他のオペレーターたちも走り出す。

トンネルの先にもいるであろう敵に備えて、愛用の片手剣を準備しながら暗いトンネルを抜けた。

開けた荒地に出れば、眩しいくらいの太陽光に源石リミッター越しの視界が少し眩む。

焦点が合うと、やはりそこには複数の敵が待ち構えていた。

「迎撃するよ!」

すぐに剣を持ち直して、敵の群れに切り込む。

手に馴染んで久しい片手剣を振り下ろして、迫りくる略奪者たちを倒していく。

なかなか減らない敵の中央に、ウルフガードが投げたフラググレネードが風穴を開けた。

爆風にも耐え、その中心にいたのは大きな斧を持った処刑人だ。

「管理人、やつが親玉だ!」

「あぁ、任せて…!」

剣を握り直すと、自分の何倍も大きな体格の処刑人に向かって走った。

間に入ろうとする狙撃手や潜入者たちを他のオペレーターが足止めしてくれている間、体の中の源石の力が高まるように、一気に体温があがる。

懐に入ろうとしたところで予想通り斧を大きく振り回す処刑人の攻撃を避け、大きく息を吸い込んだ。

「君はここで、終わり…!」

体内から放出した源石を矢のように具現化すれば、手をかざすと共に処刑人を串刺しにする。

どんなに力があっても、動きを封じてしまえば倒すのは簡単だ。

熱を帯びた源石が爆発すると、再構築した鉱石の破片を周りのボーンクラッシャーたちに送ってやる。断末魔や悲鳴が次々に響いた。

地面に叩きつけられた処刑人を前にすれば、手負いのボーンクラッシャーたちが背中を向け逃げ出し始めた。

これで敵の数もだいぶ減った。このクランは壊滅と判断していいだろう。

「逃がすか…!」

熱くなったように言うウルフガードの声が聞こえて、振り返ると共に口を開いた。

「待て、ウルフガード」

ゆっくりと体ごと向ければ小さく首を横に振って見せる。

「深追いはしなくていい。今回は殲滅することが目的じゃない」

人一倍ボーンクラッシャーが嫌いなウルフガードは、一人残らず殲滅したいのだろう。

でも、今は単独任務じゃない。

少し語気を強めて言えば、素直に足を止めてこちらに向き直った。

「了解だ、管理人」

銃をホルダーへしまうのを確認すれば、それでいいと肯定するように再度頷いて見せる。

端末を取り出すと次のクランの場所をチェックし、ゆっくりと足を踏み出した。

「よし、次の場所に行こう」

二つ目は逢瀬の時の”待て”。

「んっ…キャトロっ、ぁっ…」

「っ…管理人」

下肢を突き上げられる刺激に耐えられず、思わず吐息が漏れてしまう。

キャトロとは”そういう”間柄で、二人きりの時間があると、お互いを求めるように肌を重ねる。

どちらからというわけもなく唇を重ねると、服を脱がせあって、あとは欲に身を任せるだけ。

「ぁっ…待てってば、はげしっ…」

深いところまで何度も擦られ続ければ、耐えられずに無意識に言ってしまう言葉。

その言葉に、キャトロは動きを止めてしまう。

言ったのはこちらなのに、でも本当はやめてほしくないとも言いづらい。

どこか涼しい顔をして見下ろしてくるキャトロに眉を寄せ、それでもこのままでは辛いと仕方なく口を開く。

「っ…なん、で…」

「”待て”と言ったのは、管理人だろう?」

図星を突かれて、思わず眉間の皺が深まるのが自分でもわかった。

「っ…こういうとき、は…待たなくて、いい…」

自分でもわがまま極まりないとは思っている。

素直に言葉にできたらいいんだけど、言葉にするのも恥ずかしい。

代わりに奥深くにいるキャトロの熱を締め付けてやると、先ほどまで余裕だった表情が一瞬歪んだ。

言葉にするよりも恥ずかしいことな気がしないでもないが、それ以上に脈打つ熱を更に感じて自分の内にある欲が増していく。

「、…キャトロ、はやくっ…」

もっと繋がりたくて促すように言えば、満足そうに口元が緩くなるのを見た。

普段見れないこの緩んだ顔が見れて、満たされるみたいに胸の奥が熱くなる。

「了解だ、管理人…っ」

「ぁっあ…っ!」

僕が言ってしまう”待て”には種類があるらしい。

戦場では明確に命令として言うけど、二人きりのときは照れ隠しのようなものだ。

わがままだなと思うけれど、これからも言い続けてしまうだろう。

戦場では正しく。ただし、二人きりの時は甘える言葉として。

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