Arknights:Endfield

If you Live...

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中枢基地の廊下を駆ける音が響き渡る。

思った以上に広い中枢基地の敷地を考えれば、向かっている場所まで本来なら10分程はかかる。

ひどく息が切れるのも気にせず階段を駆けあがって、目的の部屋の前で足を止めた。

自動ドアが開く時間さえも惜しくて、焦る気持ちに反するように緩い動きで開く扉を無理矢理押し開いた。

「ウルフガード!」

勢いのついたまま管理人が飛び込んだのは、医療班がいる集中治療室だった。

驚いたようにざわつく室内も気にせず、恋人が横たわるベッドの前に駆け寄る。

体には管が繋がれ、酸素マスクをつけているだけで、いつものように横で眠っているときと同じだ。

しかしその体には、治療の後を思わせるガーゼや包帯などがいくつも巻かれている。

「管理人、大丈夫です。バイタルも安定してますし、傷もそこまで深くありません」

見たこともない動揺をあらわにする管理人に医療班の一人が声をかけた。

そしてそれを証明するように、バイタルデータが表示されている端末を手渡す。

少しだけ震える手で端末を受け取り、急いで画面をスクロールしながらデータを確認した。

治療内容や数値で示された身体データ。

現状から見て、今すぐ死んでしまうという状況ではなかった。

やっと状況を理解できた管理人は、大きく深呼吸をした。

完全に判断ミスだった。

未開拓エリアに足を踏み入れると、そこにはアンゲロスの群れがいた。

しかし、今まで遭遇してきたアンゲロスたちとは違い、独自の進化を遂げたらしい個体はどれも大型で、今の管理人たちの手におえるものではなかった。

「これ以上は危険だ…もう一度準備を整えよう…!」

撤退指示を出した直後。

敵の攻撃から一歩遅れた管理人を庇って、ウルフガードが負傷したのだ。

同行していたポグラニチニクとアレッシュに庇われ撤退したものの、傷口からの出血量が多く危険な状態だった。

集中治療室へと入ったウルフガードを扉の前で見送ってからも、その場を離れない管理人を心配して、ポグラニチニクが休息を取るように勧めてくれた。

中枢基地であてがわれている自室に来たものの、手放しで休めるわけもなく、医療班からの連絡が来るまでは、まるで地獄のような時間だった。

丸一日程経ってからBakerに入った連絡を見て、急いで集中治療室へと走ってきたのだ。

「早くに撤退していただいたおかげで、毒も体に回る前に処理できました。出血は多かったものの、危険な状態からも抜けています。あとは、しばらく安静にしていれば大丈夫でしょう」

医療班からの報告を聞き終えたところで、ウルフガードがゆっくりと目を開いた。

緩慢な瞬きを繰り返す様子に気づけば、管理人はその顔を覗き込んだ。

「ウルフガードっ」

「……管理人、無事か?」

やっとこちらに気づいたのか、視線だけを向けてきたウルフガードに、管理人は何度も頷いて見せた。

「うん、僕は大丈夫だ」

「そうか、…」

管理人の顔を確認すると、ウルフガードは少しだけ口元を緩ませたものの、その瞼はまた閉じてしまった。

張り詰めていたものが切れてしまったような様子に一瞬焦ったが、端末に表示されている数値は安定している。

医療班に宥められ、管理人はまだざわつく胸を抱えながらも、部屋を後にした。

「ウルフガード、入るよ」

治療を無事に終えたウルフガードは、医療班の指示でしばらく休息を取ることになった。

療養用の個室に移動になったと聞いて、管理人はその部屋へと様子を見に来た。

自動ドアが開くと、そこには病衣に身を包み、ベッドに腰掛けているウルフガードの姿があった。

「管理人」

「調子はどうかな?寝てなくて大丈夫?」

「あぁ、平気だ」

「その服、見慣れないね」

「……医療班からの指示だ。数日は仕方がない」

管理人はゆっくりとウルフガードの隣に腰かけた。

肘程までしかない袖からは、左手首から腕全体に巻かれている包帯が見え、肩口まで巻かれているのが病衣の合わせから伺える。

自分をかばったときに、アンゲロスの攻撃を直に受けてしまった左腕。

管理人は手を伸ばすと、包帯が巻かれたその腕にそっと触れた。

「まだ、痛む…?」

「医療班が念のためにと巻いていっただけで、そこまで痛みはない。アーツは少しの間使うなと言われたけどな」

ウルフガードは腕に巻かれた包帯の留め具を外した。

病衣の袖を通り抜け、包帯がベッドに落ちる。

包帯が取れた腕から現れたのは、アーツとは別に刻まれた大きな傷跡。

管理人を庇った際に出来た裂くような傷はすでに塞がっていたが、皮膚の上に赤く盛り上がった傷跡が、みみずばれのように残っている。

幸い、骨折などに至らなかったのが救いだ。

しかし思った以上に目立つ傷痕に、管理人は眉をひそめた。

「こ、れは……痕になってしまいそうだ」

「そんなもの、今更だ。これと変わらない」

言いながら、ウルフガードは古傷たちが残る右腕を差し出した。

腕に刻まれた傷跡の数々から、彼がどれだけの死地を経験してきたかがわかる。

「それに、お前を守った勲章みたいなものだ。むしろ残ったままでいい」

ウルフガードの言葉に、管理人は息を詰めた。

自分のせいで傷を負ってしまったのに、どうしてこの男はここまで自分のことを想ってくれるのだろうか。

思わず縋るようにウルフガードの首元に腕を回した。

「ごめん、僕のミスで……君を傷つけてしまった」

「別にお前のせいじゃない。謝るな」

古傷の刻まれた右腕が、管理人の背へと回る。

怪我を負わせたのは自分だ。

本来なら、自分が安心させる側でなければならない。

それなのに、背中を撫でる手は優しく、自分を宥めるように触れてくる。

伝わるぬくもりに、胸の奥がずきりと痛んだ。

ゆっくりと顔を上げ、間近にある唇へそっと自分の唇を重ねた。

触れるだけの口付けをすぐに離し、管理人は目の前にあるその端正な顔を見つめる。

「キャトロ、君が生きていてくれて…本当によかった」

誰かを失うかもしれないという経験は、今の管理人にとって初めての経験だった。

自分が殺されるかもしれないということよりも、大切な人を失うかもしれないことの方が、恐怖が大きいのだと知った。

管理人の言葉に、ウルフガードは小さく息を付くと首を横に振った。

「大袈裟だ。あのくらいじゃ死なない」

安心させるように言い、今度はウルフガードから顔を寄せる。

触れるだけの優しい口付けに、安堵とも後悔ともつかない感情が込み上げる。

この温もりをもし失っていたら。

この声をもう二度と聞けなくなっていたら。

そう思った瞬間、離れている僅かな距離さえ耐えられなくなり、管理人は自ら重なる唇の距離を深めた。

今ここに存在があることを確認するように、ウルフガードの背中に回した手に自然と力が籠もる。見慣れない病衣は、普段彼が纏っている衣類よりもだいぶ薄く、いつもより体温がはっきりと伝わってくる。

手触りのよい布が依れるほどきつく掴みながら、少し唇を開いた。

応えるようにぬるりと入ってきたウルフガードの舌先が、歯列をなぞるように丁寧に舐めてくる。

管理人も自らの舌を差し出し、そっと絡ませた。

少しだけざらりとした感触と、纏わりつく熱さが舌全体から伝わる。

さきほどまで優しく背中を撫でていたはずのウルフガードの腕が、更に体を密着させるように両腕で抱き寄せてきた。

交わる体温の行く先がくっきりと輪郭を描きはじめ、管理人は無意識に期待したように湿った吐息を漏らした。

しかし、熱が高まっていくのを制するように、ゆっくりと唇が離れていく。

「、キャトロ」

「管理人、これ以上は……」

離れてしまった唇に、管理人は思わず不満を滲ませるように眉間に皺を刻んだ。

しかし、次いだ恋人の言葉にハッとしたように息を呑んだ。

相手が病人であることを失念していた。

密着している体を少しだけ離すと、ウルフガードの体を確認するように、肩や腕に触れながら順番に見下ろしていく。

「ごめん、どこか痛かった?」

「いや、そういうわけじゃ……」

歯切れ悪く言いながら背けたウルフガードの頬は、うっすらと赤らんでいる。

隠すように手で覆う様子に、少しだけ首を傾げた。

理由を探すように視線で彼の体を辿る。

下腹部まできたところでようやく理由を理解し、口元に小さな笑みが浮かんだ。

「……キャトロ、もしかして…」

管理人はそっと手を伸ばすと、ウルフガードの下腹部に触れた。

そのまま下へと伝っていけば、病衣越しに少し熱を帯び始めた欲があるのがわかった。

ベッドから降り床へと座り込むと、病衣の上からウルフガード自身を撫でた。

「っ、管理人」

「僕に任せて」

病衣を捲り下着をずらすと、ウルフガードのものを取り出した。

すでに熱を帯びて硬くなりつつあるそれに顔を寄せると、そっと鼻先を寄せる。

雄の香りがする性器に何度も口付け、躊躇いもなく先端を口に含んだ。

不意にウルフガードの手が管理人の頭に触れる。

抵抗を見せてきたのかとも思ったが、緩く髪に触れるだけの様子からして、満更でもないのかもしれない。

そのまま先端に舌を絡ませ、優しく舐め濡らし、時折緩く吸いつく。

その刺激に素直に反応を示す性器は、じわりと先走りを溢れさせ、舌から独特の味が伝わってくる。

時折口から出して竿を舐め上げれば、呼応するように脈打つのがわかり、愛おしさに胸の奥がじんわりと熱くなった。

猛りを大きくさせ始めたウルフガード自身をまた咥え込むと、ゆっくりと口から抜き差しをするように頭を動かす。

すでに硬く質を増した陰茎すべてを口に入れることはできず、根元は両手で優しく包むように握りながら、先端から途中までを咥内で擦るように抜き差しする。

唇で緩く締めてやると、優しく髪を撫でてくる手に力が入り、少しだけ髪が引っ張られた。

「っ、管理人……」

上擦った呼び声が頭上から聞こえ、管理人は陰茎を咥えたままウルフガードをベッド下から見上げた。

床に座りながら見上げる視界の中には、熱い吐息を漏らしながら、欲に濡れた眼差しでこちらを見下ろしてくる雄の姿があった。

普段はそんな欲を秘めていることなど感じさせないのに、獣の鋭さをちらつかせるその視線に、管理人は自らの体の熱があがるのを覚えた。

緋色が混ざる黄金色の瞳を見つめたまま、ゆっくりと陰茎を口から引き抜くと、先端まできたところでまた喉奥まで咥え込む。

とぷっと先端から漏れた熱い液が喉奥に絡みついて、鼻先までその味に満たされる。

絡みつく先走りと圧迫感で、うまく呼吸ができない息苦しさに思わず眉が下がるが、それでも頭上から注がれる眼差しからは視線を逸らさない。

管理人はまるで瞬きもさせないと言わんばかりに、相手のものを咥える様子を見せつけ続けた。

そのおかげか、ウルフガード自身は更に管理人の咥内を圧迫してきた。

同時にじわりと自分の下腹部に熱が集まるのを感じた管理人は、更に追い詰めようと抜き差しを早めた。

「、っ…ん、それ以上は…っ」

先ほどまで髪を掴んでいた手が、今度は抵抗するように緩く額を押してくる。

しかし、管理人は負けじと陰茎に舌を絡ませながら、根元を擦る手の動きも早めた。

頭上では呼吸が荒くなっていくのがわかり、余裕のなさが伺える。

最後の一押しをするように、男根に軽く歯を立てて吸ってやると、ほどなくしてウルフガードの腰が震え、喉奥へと精が注がれた。

その勢いに驚き、管理人は思わず大きく噎せると、咥えたままだった熱い陰茎から口を離した。

開いたままの口からは、吐き出された精液が零れてくる。

管理人は舌先で口元についた精液を舐めとると、すぐに口を手で押さえた。

「管理人、っ……大丈夫か?」

声のした方へと顔をあげる。

そこには、少しだけ眉尻を下げながら見つめてくるウルフガードの姿があった。

しかし、その瞳にはまだ明らかに色情の色が浮かんでいる。

その綺麗な瞳が更に色濃くなるのが見たくて、管理人は頷いてから緩く口を開けて見せた。

赤い粘膜の壁には吐き出された精液が色濃く存在を残し、小さな舌の上にも溜まっている。

その様子に、ウルフガードの瞳の色が濃くなり、喉仏が上下するのがわかった。

しかし、相変わらず冷静さを保とうとする彼は一度目を逸らし、周辺にあったタオルを手に取ると、管理人の口元へと差し出してきた。

「ほら、吐き出せ」

差し出されたタオルから距離を取り、小さく首を横に振る。

一度口を閉じると、何度か喉を上下させて粘りつく白濁を飲み下してから、再度口を開いて口内を見せた。

そこにはきちんと飲み下した後の、熱を孕んだままの濡れた粘膜が広がっている。

「ちゃんと、飲んだよ」

「、……そんなこと、しなくていい」

少し乱暴にタオルで口周りを拭かれる。

普段は優しすぎるほど優しいくせに、この乱雑さを見る限り、確実に動揺している。

自分しか知らないいくつもの表情を見せてくれる恋人に、胸の奥に張り付いていた不安が少しずつほどけていく気がした。

「君のなら欲しいって思ったから。それに、」

管理人はゆっくりと立ち上がると、ウルフガードの肩に手を添えそのままベッドに押し倒せば、体の上に跨った。

「もっと、キャトロを感じたい」

アウターを脱ぎ捨ててリミッターを外し、濡れたグレーの瞳を晒してやれば、ウルフガードが息を呑むのがわかった。

邪魔なニットやインナーも脱ぎ捨て、半裸になった上半身を密着させるように抱きつくと、下から伸びてきた手が腰を撫でてくる。

重なる鼓動の音が心地よくて、少しだけ体を起こし、その音を辿るようにウルフガードの胸を撫でた。

病衣をはだけさせれば、露わになった半身を眺める。

体に刻まれた古傷の数々。

そして、アーツが刻まれている方の肩や胸元には、新しい傷がまだ生々しく残っていた。

管理人は込み上げるものを押し殺すように息を呑むと、その傷を辿るようにそっと口付けを落とした。

こんなことをしても、傷が消えるわけではない。

それでもここにいることを確かめるように、何度も口付けた。

「キャトロは動いたらだめだよ?」

ゆっくりと体を起こすと、念押しするように言いながらズボンと下着を脱ぎ捨てる。

管理人自身の先端からも先走りが溢れ、もうすでに割れ目を濡らしていた。

再度腰を下ろすと、ウルフガード自身を濡れた双丘の割れ目に挟むようにしながら、腰を前後に揺らす。

その腰の動きに合わせて、管理人は自らの性器を握り扱き始めた。

ウルフガードは目の前で突然繰り広げられる光景に熱をあげることしかできず、下肢に溜まっていく欲に深く吐息を漏らすことしかできない。

「っ、…はっ…キャトロ…っ…」

鍛えられた腹筋に片手を付き、相手を煽るように性器を扱く様子を見せつける。

先ほどと同じく視線を外させないように金色の瞳を捉えたまま、管理人は腰を振った。

下から見上げてくる湿度を持ったその瞳に、たまらず熱い吐息を漏らす。

濡れた音を立てながら扱く手が早まり、先端から溢れる先走りが逞しい筋肉へと落ちる。

双丘で挟むように擦り上げていたウルフガード自身もすっかり熱を取り戻し、その存在を硬く主張し始めていた。

下から感じる熱に双丘の奥がじんじんと刺激を求め始めれば、管理人は扱く手を止め、ゆっくりと腰をあげた。

その柔肌が隠していた割れ目の先に自ら手を伸ばすと、隠された蕾へ濡れた指先を差し入れる。

くちゅっと濡れた音を立てながら指先を呑み込ませるが、久々に触れるそこは異物を拒むように狭くなっていた。

「んんっ…久々、だから…ちょっと、きつい…」

拒む粘膜を自ら割り開くように、指先を埋めていく。

無理矢理二本目を埋め込めば、閉じられた蕾を開くように指で拡げた。

「っ、管理人…手伝う、か…?」

管理人が手間取っている様子を見れば、下にいるウルフガードが声をかけてきた。

動くなと言われている手前、触れるにしても一応確認は取ろうとしているらしい。

そもそも事をやめるという選択肢は、もうウルフガードの中からも消えているようだ。

その証拠に勃ちあがった彼の男根が、管理人の双丘に先ほどから何度も当たっていた。

「ううん、だめだよ…キャトロは、動かないで」

管理人は首を横に振ると、蕾から指を引き抜いた。

深く息を吐きながらウルフガード自身を握ると、今ほど解していた蕾へと先端をあてがい、そのまま腰を下ろしていく。

まだ解しきっていない狭い蕾に硬い性器がめり込んでくる。

それと同時に、指など比べ物にならない痛みと圧迫感が下から上がってくる感覚。

内臓までも届きそうな刺激に、管理人は息を詰めながらも腰を下ろし、奥まで呑み込んだ。

「っ、はっ…おっきぃ…っ」

粘膜を抉るように内に収まる熱に、管理人は吐息混じりに小さく言うと、腰を上下させて熱い性器を抜き差しし始めた。

体の奥を擦られる感覚に頭がくらくらとして、狭い入り口を押し開きながら出たり入ったりを繰り返す熱に、脳が焼かれていく。

ぐちゅりと濡れた音を立てながら腰を上下に揺らしていれば、少しだけ残っていたはずの理性はいつの間にか行方をくらませてしまった。

震える足で必死に体を支えていると、その肢体を支えるように下から大きな手が伸ばされ、今まさに揺れている細腰を掴まれた。

掴まれる刺激だけで管理人自身の先端からは先走りが漏れ、中にあるウルフガードの熱をきつく締め付ける。

自分の下で息を詰める様子を見下ろせば、同じように熱に浮かされた紅い瞳と視線が絡まった。

引き寄せられるようにそのまま体を倒すと、噛み付くように相手の唇を貪る。

吐き出されるお互いの吐息が絡み合って、口付けの合間に酸素を吸っているのか互いの吐息を吸いあっているのかわからない。

このまま体中全部絡まり合ったら、死んで会えなくなるかもしれないなんて不安はなくなるのだろうか。

そんな考えが頭の片隅をよぎった。

それを見透かすように、突然下から強く突き上げられ、管理人は思わず唇を離した。

声にならない呻き声が溢れ、喉が鳴る。

強く掴まれた腰は自らの意思では動かせず、下からの突き上げをひたすら受け入れなければならなくなり、すっかりペースを崩された。

「ぁ、あっ……動かないでって、言った、のにっ」

「お前が、他所見してるからだろっ」

戦闘の時でさえ息を切らさないことが多いウルフガードが、荒っぽい吐息混じりに不満を滲ませてくる。

広い荒野を見渡すための瞳が今は自分だけを映し、張り詰めた金色の奥に滲む肉食獣の姿にぞくりと背筋が震えた。

先ほどまで少しだけ残っていたはずの理性もすっかり削り取られ、下半身から這うように迫り来る快楽の波に言うことを聞かなくなった体を委ね、その先を共に追う熱にすべてを預けるしかなくなった。

与えられる刺激に抗うことなく、管理人は背中を仰け反らせると自身から白濁を吐き出し、同時に胎内に広がる熱に息を詰めながら全てを手放した。

戻ってきた意識を手繰り寄せ、緩慢な動きで瞼を開く。

本来のベッドの主は同じように隣で横になっているが、眠っている間にこちらがベッドを占領してしまったようで、端ぎりぎりの位置にいた。

体にかかるシーツも、こちらがほとんどの面積を使ってしまっているようだ。

シーツの端からはみ出た雄々しい尻尾が、まるでこちらを閉じ込めるかのように体に周り、同じようにシーツごとこちらを抱きしめる腕がそこにあった。

肩まで伸びる大きな傷跡にそっと触れる。

指先から伝わるかさついた裂傷の痕。

隆起したままのその感触から、管理人は押し込めていた不安が沸き上がるのを感じ、思わずその腕を縋るように掴んだ。

「…起きたか?」

閉じられていた黄水晶のような瞳が開いた。

開いてくれた瞳に安心したのも束の間、管理人はその目から逃げるように視線を逸らした。

「ごめん…怪我が治ってないのに、」

あんなことを、と言いかけて、管理人は口を閉じた。

一気に先ほどの場面がフラッシュバックする。

決して病人を襲うほど欲求不満だったわけではないが、相応のことをしてしまったことは自覚している。

隣で動く気配がした矢先、大きな手が頬に触れた。

「お前が生きていて、よかった」

心臓を鷲掴みにされたように、息が詰まる。

泣きたいような恥ずかしいような、でもそれ以上に愛しさが募り、管理人はその逞しい胸に顔を押し付けた。

「だからそれは、僕のセリフなんだけど…」

胸の鼓動が近い。

その傷だらけの胸板の先に、確かに脈打つ心臓がある。

ウルフガードが生きていることを改めて実感した。

顔を上げると、今度は真っ直ぐ視線を合わせる。

「君が生きていてくれて、よかった。だから……これからも、生きて」

思ったよりも真剣な声音だったようだ。

ウルフガードが少しだけ目を丸くするのに気付きながらも、無理やり約束を取り付けるように口付けた。

唇が離れ、重なっていた熱が遠くなる。

「……お前もな」

目を伏せたウルフガードは少しだけ間を置いてから言うと、管理人を抱きしめる腕に力を込めた。

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